村山秀樹出演
|
なおみ | :高橋なおみさん | |
村山 | :村山秀樹 |
なおみ: | え〜、今日はチャーリー・パーカー特集と言うことで、まずは村山先生のインターネット上に載せてらっしゃるチャーリー・パーカー研究を、わたし他のかたから紹介して頂いて読ませていただいたんですね。それで、まあこの番組の中でもチャーリー・パーカー特集をやるにあたって、これはもうこのかたを助っ人としてお呼びするしかないと思ったわけなんですけども。 |
村山: | 恥ずかしい文章ですけども(笑い) |
なおみ: | チャーリー・パーカーと村山先生の出会いというのは? |
村山: | これはですね、意識して聴いたのは高校生ぐらいだと思います。中学生くらいからジャズが好きで聴いていたんですけども、高校になり音楽友達が出来まして、なんか凄い奴がいるぞというんで私にLPを貸してくれた人間がおりましてですね、いま東京都交響楽団の主席オーボエ奏者をやっているクラシックの人間なんですけども。とにかくとてつもないのがいる、おまえレコード聴けといわれて、意識して聴いたのは高校2年かそのぐらいじゃないかとおもいますね。 |
なおみ: | ふ〜ん。 |
村山: | 最初わからなかったんですが。やっぱり、いろいろ聴き比べるうちに、なんかとてつもなく凄いぞと、高校ぐらいから大学ぐらいになってきてはまってきたと、そんな感じですね。 |
なおみ: | そうですよね。私も初めやっぱりジャズに自分が傾倒していくにあたってチャーリー・パーカーの名前を聞くことは大変多かったんだけれども、やっぱりそれがどうしても、ん〜いまいちというのがまず音質の問題があって・・・。 |
村山: | あぁ、それはありますね。 |
なおみ: | どうしても、う〜んというところが・・・。あと、難しかったんですね。何やっているか分からない(笑い) |
村山: | たしかに一般的には名前の割には聴かれてない人だと思いますね。 |
なおみ: | そうですよね。 |
村山: | まあだいたいSPの時代ですから曲も皆3分ですし、音質はさきほど話があったように、まさにSPの音が入っているといった感じですから。 |
なおみ: | そうですよね。 やっぱりジャズミュージシャンとしても、それからリスナー、いちジャズファンとしてもチャーリー・パーカーという名前が・・・。 |
村山: | そうですね。もう飽きないですね。飽きないと言うか、聴き始めてもう40年近くなるんですか。いまだに聴いても新鮮ですね。 |
なおみ: | 村山先生はベーシストなわけですよね。まあ管楽器の奏者でないわけですけれども、やっぱり自分が演奏していく上でもフロント楽器の人にはこうあってほしいとかそういうことは? |
村山: | たしかにパーカーのフレーズを吹く人はたくさんいるんですけども、どうしてもアタックとかそのへんが違うんで、やっぱり普通の人にパーカーを求めるのは無理かなという気はしてますけども(笑い)。フレーズとかその辺は好きですね、大好きですね。非常に快感というか気持ちが良くなる感じですね聴いていて。 |
なおみ: | そうですね。村山先生のベースソロを聴いていても、すごくそこらへんは伝わってくるものがあるんですけれども。 |
村山: | やっぱりフレーズは、盗むというと言葉がよくないんですけども、フレーズを引用してという部分ではものすごく影響を受けていますね。 |
なおみ: | ん〜、そうですね。 |
* |
|
なおみ: | 本日はですね、今日のかける音源すべて村山先生のほうからご提供いただいているんですけども、曲の順番もすべてプロデュースいただきました。そのなかから一曲目お届けしていきましょうかね。 まず一曲目お届けしていくのはNow's the Timeですけれども、これを一番に持ってきたのはどういう理由で?。 |
村山: | これはですねチャーリー・パーカーのリーダーとしての初録音なんですね。 で、この中にいわゆるビ・バップといわれるフレーズのすべてが詰まっていてですね、パーカー自身がのちのち引用する、またあらゆる人に引用されたフレーズが詰まっているという、私としても昔一生懸命演奏した曲でもあるんですけども、そういうモダン・ジャズの古典の代表的な曲という意味で一番最初にこれを持ってきました。 |
なおみ: | はい、ライブシーンでもすごく演奏されることの多い曲ですけどもね。 |
村山: | そうですね。 |
なおみ: | そんな一曲をお届けしていきましょう。Now's
the Time。 |
〜「Now's the Time (Take4)」〜 1945年11月26日 Savoy Studio Recordingsより |
|
なおみ: | はい、ということで、一曲目お届けいたしましたNow's
the Timeということでしたけれども。 久しぶりに原曲を聴きましたけれども(笑い)、ゆっくりですよね久しぶりに聴くと。 |
村山: | ええ、普段ジャムセッションとかでやられるよりは、これはだいぶゆったりしたテンポだとおもいますね。ほとんど初録音に近いマイルス・デイビスが若々しいというか初々しいというか、まあどちらかというと素人くさいソロをとっておりましたけれども(笑い) |
なおみ: | ほんとに(笑い)。これがマイルス・デイビスかという感じで。 |
村山: | そうですね、ちょっとビックリしますねこれは。このあとの2,3年でとてつもない変貌をとげますねマイルス・デイビスは。 |
なおみ: | この録音は1945年ということですね。マイルス・デイビス、トランペット、そしてアルトサックスがもちろんチャーリー・パーカー、ピアノはサディク・ハキム、ベースはカーリー・ラッセル、ドラムスがマックス・ローチ、ということなんですけれども。え〜なんかわたしの印象では「あ、ゆっくり(笑い)」という感じがしましたけれどもね。 |
村山: | まあ、パーカーのフレーズはいわゆるさっき言った古典的なフレーズが詰まっているという演奏ですね。 |
なおみ: | 今でこそ古典なわけですけども、当時はね「何やってるの?!」という感じだったと思うんですけどね。 |
村山: | ええ、当時としては革新的なもので、ほとんどがこの当時40年代中ごろまでは実はスウィングが全盛でやっぱりパーカーは異端者だったんじゃないかと思いますね。 |
なおみ: | う〜ん、それがすごく私としては意外だったんですけれども。当時の模様とか、あとでもお話の中に出てくるんではないかと思うんですけども、「BIRD」という映画の中でも割とリスナーの人たちに受け入れられたのかな〜という感じが・・・。 |
村山: | たぶんですね、熱狂的な信奉者みたいなのはいたんですけども、世の中の大半はまだスウィングの時代だったんじゃないかと思いますね。ですから音楽家とか、そのへんには熱狂的に受け入れられて、ミュージックシーンでは革新的なできごとで捉えられていたんですけども、一般社会の中ではやっぱりどうしてもベニー・グッドマンあたりのですね、そういうのが受けているという時代だったと思いますね。 |
なおみ: | そうですね。今でこそ「あぁNow's the Time。じゃ、やりましょ」と言われている曲ですけども(笑い)。本日の一曲目でした。 |
* |
|
なおみ: | 続けてお届けしていくのは・・・。 |
村山: | Donna Leeです。この曲はIndianaという曲のコード進行を取ってですね、パーカーが作ったといわれているんですが・・・。実はパーカー自身こんな整然とした曲を作るはずがないんでですね、わたし一緒に録音しているマイルス・デイビスの曲じゃないかと思うんですけれども。チャーリー・パーカーの曲というのは必ず難しいリズムパターンが入ってくるんですが、これリズムパターンという意味ではあまり難しいのがなくてですね、あまりに整然としているんで本当はマイルス・デイビスの曲じゃないかと。で、パーカーがリーダーなんでパーカーの名前になったんじゃないかという、ちょっとうがった見方をしております。 |
なおみ: | は〜、すごい、マイルス・デイビス作説がとびだしてますけれども。私この曲初めて聴いたのがジャコ・パストリアスで・・・。 |
村山: | あぁ、ベースのソロでやっているやつですね。 |
なおみ: | そう、あれで「なんだろこれは」と思いましたね。その後でチャーリー・パーカーのやつを聴く事があって、そこでやっと「ハハァ」となったという曲なんです。 |
村山: | これアルト奏者にとっては本当に課題曲の一つですね。 |
なおみ: | はい、そんなDonna Leeを続けてお届けしてまいりましょう。 |
〜「Donna Lee (Take5)」〜 1947年5月8日 Savoy Studio Recordingsより |
|
なおみ: | はい、お届けしましたのはチャーリー・パーカーでDonna
Leeでした。それではCMです。 |
−CM− |