The Best Of Modern Jazz
(Prestige 日本編集オムニバス盤)



〜 初めて買ったジャズアルバム 〜

 皆さんは自分で初めて買ったジャズのアルバムというのを憶えているだろうか? 私は、ジャズということでは、Benny Goodman At Carnegie Hall が初めて買ったLPで、これは良い出会いであった。Modern Jazz のLPということでは、The Best Of Modern Jazz というたいそうなタイトルのついた Prestige の日本編集のオムニバス・アルバムであった。ジャズが何物かも良く分からない頃で、今考えると、このLPとの出会いは本当に幸運であった。もう40年も前の話である。

 これには、下記の8曲が入っていた。ほとんどが Prestige レーベルの名演と言われる演奏である。

  Sonny Rollins : Moritat
  Miles Davis : 'Round About Midnight
  MJQ : Softly As In A Morning Sunrise
  Thelonius Monk : Smoke Gets In Your Eyes
  Stan Getz : There's A Small Hotel
  Clifford Brown : Lover Come Back To Me
  Horace Silver & Milt Jackson : Opus De Funk
  John Coltrane : Russian Lullaby

 ほとんどが解説の必要の無い、誰でも知っている有名な演奏であろう。ジャズのLPを数枚しか持っていなかったこの頃、本当に良く聴いた。全曲、アドリブまで一緒に歌えるほどである。

 Moritat は Rollins のユーモラスなソロも、Roach の(今考えるとあまり面白くない?)生真面目なソロも憶えてしまった。Miles Davis の 'Round About Midnight には、当時の身の回りのPops とのあまりの違いに戸惑い、ソロに入る前のブレイクのアレンジに驚嘆し、これが本家と信じ込んだ(CBS が本家らしい)。MJQ の Softly はあまりに聴きすぎて、ジャムでこの曲のベース・ソロが回ってくると、必ず John Lewis のソロ(らしきメロディ)を引用してしまう。Coltrane にはぶったまげた。中学生にとっては刺激が強すぎた。Monk の Smoke Gets In Your Eyes は2管とピアノが交互にメロディを弾くアレンジで、Monk の調子っぱずれの音と共にその摩訶不思議な世界に引き込まれた。Brownie のラバカンのソロは、Brownie のベスト5に入るのではないかと今でも信じている。確かライオネル・ハンプトン時代のヨーロッパ録音(Metronome 原盤)である。Art Farmer がつまづいている様子も懐かしい。

 LPは擦り切れてボロボロになってしまっているが、捨てる気にはなれない。本当に愛着がある。当時のペラジャケもその時代を思い出させる道具立ての一つとなっている。これらの演奏は今やほとんどCDで持ってはいるが、その思い出故にLPをそのままMDに落として聴いている。やはり名演はいつまでたっても名演である。この出会いは本当に幸運であった。ほとんど白紙の状態の時に良い演奏と出会えた、というこの出会いが、現在まで途切れることのないジャズとの付き合いの切っ掛けの一つである。そう言えば、当時、ライナーノートをどんなに貪り読んだことか。最近、CDの解説書なんて読む気にならない、これも年のせいか。
 
 皆さんが初めて買ったジャズのアルバムはどんなものでしょうか?


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