番外編 ジャズ詩大全


 この所、夢中になって「ジャズ詩大全」を読んでいます。現在3巻目です。この本は15巻+クリスマス編、全16巻あり、私の近所の図書館には、全16巻そろっています。全巻で5万円程度は買うにはちょっとつらいですよね(その価値はありますが)。

 この本は本当に素晴らしい。著者・村尾陸男氏は元プロのジャズ奏者(ギター及びピアノ)で、滞米経験もあり、翻訳も生業としており、音楽普及の仕事もしていたようです。

 各巻40曲ほどが収められており、それぞれの曲に、

1)曲自身についての解説、作詞作曲者についての解説、時代背景、作詞作曲/演奏の経緯、歌手/レコード/映画/ミュージカについての解説など。

2)原詞(英語):Verse 及び Chorus の両方。異なる歌詞があればそれも、歌詞の男女差があればその両方も掲載されている。原詞と対比したその日本語訳(主に意訳)。

3)補遺として、この曲を歌うことに関する著者の見解など。あるいは、歌詞内容や音楽的な面からの解説など。

4)注として、詞の中で使われている英語の解説、各種例の提示。他の曲での使用例との比較解説。歌詞を変えて歌っているなどの提示。歌詞の男女差の解説。言葉の引用元(古典や聖書など)についての解説、その他、文法的解説など。

5)時々、追加の解説として、あるジャンルの音楽に関する解説、音楽家に関する解説、時代背景の話、言語学的な解説、等々。

など、話として読んでも非常に面白いものです。

 著者がプロのジャズ奏者だっただけあって、音楽的な解説も誠に的を得たもので、上記解説に至っては、良くここまで調べたものだと感心する内容である。また、英語の知識も大変なものであることは容易に想像でき、歌詞内容の解説は非常に興味深いものである。文章に関しては、その姿勢の誠実さが読みとれる丁寧なものである。私にとっては、初めて知ることが多く、中には、やはりそうだったのか、という、私が世間とは異なる解釈をしていたものが一致していて安心したり、などと得るものが多いこと、この上無い。

 歌手、あるいは歌手を目指す方、一度は目を通すことをお勧めします。新曲としてレパートリーに加える時に、あるいは手持ち曲について、それらの曲についてだけでも読んでみてはいかがでしょうか?自分で全巻買うにはつらいという方は、図書館でも覗いてみてはいかがでしょうか?代ナルあたりにでも、1セット店に置いてもらえると、ヴォーカル・ジャム参加者などにとって非常に役立つのでしょうが.....


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